小笠原のラム酒は、サトウキビに含まれる糖蜜を発酵・蒸留してつくられる、カリブ海に浮かぶ西インド諸島生まれの蒸留酒です。
その発祥はバルバドス島で、島民たちがこの酒を飲んで騒いでいる様子を、イギリス人が「rumballion・ランバリヨン」(イギリス・デボンシャー地方の方言で「興奮」の意味)と表現したのが名前の由来といわれています。その後、サトウキビの栽培地域が拡大していくに伴い、ラム酒も南北アメリカやアフリカでも製造されるようになりました。
その製法を簡単に説明すると、サトウキビの搾り汁を煮詰めて砂糖の結晶を分離した後、残った糖蜜を水で薄め、発酵・蒸留させてラム酒が出来上がるというわけです。
小笠原では、開拓初期(1830年頃)の欧米系定住者が捕鯨船とラム酒の取引を行っており、ラム酒製造の土壌は備わっていました。1876年に日本領土になってから、亜熱帯の気候を生かし、サトウキビの栽培による製糖業が盛んになり、その過程で生じた副産物を発酵・蒸留してつくった酒を島民は飲むようになりました。その酒は「泡酒」や「蜜酒」などと呼ばれ、太平洋戦争中に島民が強制的に内地へ疎開させられるまで永く愛飲されてきたのです。
終戦後、小笠原はアメリカが統治し、1968年(昭和43年)に日本に返還されました。返還後、疎開先から徐々に小笠原に戻ってきた旧島民にとって、疎開前に愛飲していた酒の味は忘れがたいものでした。
こうした独自の歴史を背景に村おこしの1つとして小笠原ラム・リキュール株式会社が設立され、小笠原の地酒としてのラム酒が誕生し、1992年(平成4年)より販売を開始しました。
サトウキビ特有の豊穣な甘さと力強さは、まさしく亜熱帯の太陽そのものの味わいです。飲み方はストレート、ロック、いろいろなカクテルでお楽しみいただけます。(レシピをご覧下さい)
パッション・リキュールは、ラム酒にパッションフルーツ(小笠原の特産品です)の果汁を合わせたリキュールです。パッション特有の爽やかな甘みによる優しい口当たりは、ちょっとお酒の苦手な方もきっと気に入っていただけます。
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